催事 伝えることの難しさ、大切さ
- Kanesue Kitchen
- 7月4日
- 読了時間: 5分
こんにちは、かねすえキッチンです。
先日、新商品(佐賀県産のれんこんそのままチップス・蓮根と黒豚の生餃子)の試食・販売を行いました。

行ったこともないスーパーで、ほぼ一日中立ちっぱなしで「ご試食どうぞ~」「佐賀県白石産のれんこんと鹿児島の黒豚の餃子です~」「白石町のれんこんを圧搾製法 で「一番油」の菜種油で素揚げしたチップスです~」と連呼していました。知らないスーパーとはいえ、同じ生活者には変わらないので、繰り返し同じセリフを、試食コーナーを通り過ぎる方に、グイグイお声かけをしていました。
そんな試食コーナーからは、スーパーの入り口が一直線上に見えます。
来店者がまっすぐこちらに来る場合もあれば、途中の右手にあるタマゴコーナーに、するりと入ってしまうお客さんも居られます。
「来るか!」「あ~、曲がってしまった!」とどうしてもお客さんの行動が気になってしまいます。
そのせいなのか、私たちを(当日は二人一組でした)避けるような、つまりあっちに行ったら試食させられる、という圧迫感でも感じておられるのか、だんだんタマゴコーナーへ行く人が多くなってしまったような気がしてました。
きっと、目がギラギラしていたんだと思います。
すると、その様子を見ていたスーパーの関係者で偉い人が「たぶん、ここのスーパーは田舎のスーパーにありがちな、試食したら買わないといけない、と思ってしまっているお客さん層が多いのかもしれないね」とアドバイスをくれました。
さらに「もしそういう場合は、あまりグイグイお声かけをせずに、ご試食どうぞー、くらいの控え目路線のほうが良いかもですよ」と具体的に助言をして頂きました。
一般消費者に対して、売ることのプロの助言です。従わない理由はなく、わたしは早速「ご試食どうぞー」とだけを連呼するようにしました。
ところが!なのです。控え目路線でいくら言い続けても、チラ見するだけ。あからさまに要らない、と手を振るお方。
だんだんとわたしは、この作戦ではせっかく来たのに、この美味しさを知らせるミッションを履行できずに終わってしまう!と少し焦り始めました。
まったく、他人が試食販売しているのを見るのと、自分で実際にやってみることのギャップといいましょうか、難しさを感じ始めていました。
そこで、少し知恵を出して、チップスも餃子も、まずはどのようにおいしいのか。そして、どういうシーンで食べて頂くと良いのか。
「ご試食どうぞー」と言いながらも、小さい声で、プチシナリオを考え、喋りの練習をしていました。
というのも、以前読んだ本で、人は体験したことと同じ現象には共感を覚えやすい、ということを思い出しました。
つまり、感情移入しやすい状況を作れば、試食へとスムーズにいくのでは!と閃いたのです。
そうなると、さらに小さい声の練習に熱がこもります。
「ご試食どうぞー」の後に、ぶつぶつ練習をしばし繰り返していました。
そのぶつぶつ練習とはこういう感じです。
どう美味しいのか?→こちら、蓮根と黒豚のとってもジューシーな餃子ですー!あんまりジューシーなので、タレなしでOKですよー! という感じ。
そして、食するシーンは→タレなしでいけるので、お弁当のおかずにピッタリですー!
何回も何回も繰り返し、ささやきぶつぶつ練習をし、途中で噛んでも、言い切るように練習をしました。
さて、結論は、とにかく足を止めてくれるお客様が増えました。足を止めるので、POPやショーケースの商品を見る。そして、私が持っている試食に視線を移らせ、食べてみる。
そういうお客様が格段と増えました。
スーパーの偉い人には申し訳ないですが、わたしの作戦の方が一枚上手でした。
「さあ、ご試食どうぞ」と試食が載っているお盆を差し出し、お客様がガブリと口に含んだ瞬間に、ウルトラマンだったらスペシウム光線、水戸黄門だったら印籠、ワンピース的に言うと海賊王になってやる的な決め台詞を思いつきました。
それは、より具体的なシーンを提唱するものでした。
餃子は、実はうちの中3の息子のお弁当の常連なんです。
チップスは、油がものすごくいいので、夜に食べても罪悪感なしです。
このセリフにアクションを付けて、身振り手振りでお伝えしていました。
試食後の購入者が増え始めると、お店の店長が私たちの前を通り過ぎるたびに「現在餃子60パック、チップス40パック」とタイムリーな天気予報の様に速報を入れ始めるようになりました。
この数字が、70、80となっていくと、店長さんからは「100パックまであとちょっと!」と立ちっぱなし、声出しっぱなし、餃子焼きっぱなしの私たちに、ややしんどい目標を設定するようになりました!
でも、そんな疲労感を感じていた私たちも、お互いに100パック売るまで帰りません!と宣言してしまうくらい、勢いがついていました。

今回無事に催事を終えて、改めて対面販売としての難しさ、そして伝えるための工夫を繰り返すことの大切さを再認識しました。
そして、お世話になったスーパーの方々は、これを毎日繰り返していること。
繰り返し行うから、だんだん磨かれてくること。
ああ、こうやって商品というのは、覚えて頂き、時間はかかるかもしれないけれど、定番となっていくのだな、と思いました。
商いとは、飽きることなくやっていくものですね。
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